有限会社 新海塩産業

目にも楽しい色とりどりの塩をラインナップ。夢は能登の塩が世界各国で使われること

小谷内 祥治さん[代表取締役]


通年で製塩できる流下式を奥能登で実現

日本海の海水を使った塩づくりを、流下式塩田法で行っています。きっかけは、地域の働く場づくりでした。16年程前に地元外浦地区の大きな会社がなくなり、地場産業であった織物産業等も減っていたことから有志で「西海ビジョン21協議会」を立ち上げましたが、企業誘致等のめども立ちませんでした。そんな時、昔はこの一帯が塩田地帯だったことを思い出したんです。
周りからは採算が合うのかと言われましたが、近い将来きっと体によいものを求める時代になり、よさが伝われば値段が高くても買ってもらえるはずだと考えました。ただ、地域古来の揚げ浜式製塩は夏場しかできません。かといって、通年で可能な流下式は能登半島の気候では難しいとされていました。それでも、屋根を付け、風通しもよくすれば可能なのではないかと奮起、とにかく3年間やるだけやってみてダメなら止めるまでと、思い切って挑戦しました。
現在、当社の流下式は、日本海の海水をポンプで汲み上げて霧状に吹き落とし、天然すだれに掛けて水分を蒸発させています。他地域の流下式製塩も見てきましたが、皆さんナイロンネット使用でした。天然すだれで行っているのは世界にも例がないだろうと思います。塩分濃度が10%になるまで1週間〜15日かけて繰り返し、その後、釜で炊いて濃縮、不純物を取り除き、仕上げ炊きで塩ができあがります。

黒、茶、緑、桜色の塩で商品の存在感をアピール

製造の次は販売でも挑戦がありました。まず展示会やイベントに参加して知名度を上げ、商品のよさを知ってもらうことが一番だと考えましたが、県外で出展した際、赤穂など他県の塩が有名で、珠洲の塩の知名度がまだまだ低いのを実感しました。
そこで、まずは当社の塩に目を留めていただこうと、白はもちろん、黒、ピンク、緑、茶色など、色付きの塩をラインナップしました。黒は竹炭塩です。熟成した3年ものの青竹に塩を詰め、炭窯で焼き上げます。茶色は藻塩です。万葉集に詠まれたほど古い作り方の塩です。海藻は能登に豊富なホンダワラを使います。緑色の塩は、能登固有の野菜、中島菜入りです。中島菜は高血圧によいと注目されているアブラナ科の葉もの野菜です。ピンク色の桜塩は、梅と紫蘇のエキス入り。塩梅という料理用語にあやかり、梅にこだわりました。
この色とりどりの塩をベースに、使う人のためにおいしさを提供していきたいと考えています。健康に過ごしていただける塩づくりで、将来的にはミネラルの種類が豊富であることを目指します。お客様に喜んでもらえる商品にしていければベストだと思っています。
今後、夢は大きいですが、世界各国に売っていきたいです。すでに、アメリカ、ロシア、スイスに少量ですが売っており、夏には香港にも行く予定です。

有限会社 新海塩産業

■ 住所/〒927-1322 石川県珠洲市長橋町15-18-11
■ TEL/0768-87-8140
■ 代表者/小谷内 祥治
■ 創業/平成14(2002)年
■ 業務内容/天然塩・天然にがりの製造・販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります