金沢三茶屋街の一つ「にし茶屋街」側に町屋旅館をオープン

平成30（2018）年12月、金沢市増泉町にて開業し、「宿泊施設の運営・管理」と「町屋旅館の企画設計」をしております。「単に“泊まる”のではなく体感することで街の魅力が心に残る宿」をコンセプトに、金沢三茶屋街の一つ「にし茶屋街」の近隣にある100年町屋をリノベーションして、江戸末期から明治の庶民的な町屋を宿として復元し、昔あった城下町金沢の原風景を再現しています。
宿の設備は中長期滞在してもらうことを目的に、欧米基準の断熱性や遮音性に優れたLDKルームとベッド・布団のお部屋を完備しており、金沢を拠点にいろいろと旅行ができるようにブランディングしています。お客様は平均1グループ4～5人が多く、一般的なホテルだとツイン2部屋で家族別々の部屋になりますが、当施設は1部屋で宿泊できるのが強みです。今は4棟9室あり、部屋の名前は「響、頂、月、風、鳥、花、獅子、カニ、金魚」となっております。金澤町屋が増えることで古き良き城下町金沢の雰囲気が醸し出され、金沢特有の狭くて細い道に行灯（あんどん）が灯れば町全体が宿になります。ゆったりとした風情を「にし茶屋街」に訪れる観光客の方にも楽しんでもらいたいと思います。

アメリカで街の景観づくりを学ぶ

私は大学卒業後、中堅のゼネコン会社に就職しました。入社後1年程でアメリカのロサンゼルスに転勤となり、英語を猛勉強し宅建の資格を取得しました。また、ラスベガスでは、建築のプロが魅力的な街をデザインする都市計画を目の当たりにして衝撃を受けました。屋根の瓦や壁の色など基本デザインを統一した街の景観づくりや街全体の機能をプロデュースし資産価値を高める方法を学びました。30歳で帰国後、父親が経営する一般住宅の建設会社に就職し、アメリカで学んだ街づくりを実践しました。「北陸新幹線開業後の金沢で今まで培った経験やノウハウを活かし新しい挑戦をしたい」と思い起業しました。

金沢の景観と歴史的価値の高い金澤町屋を守る

2025年までに10棟20室、2030年までには20棟50室を目標としています。宿が増えれば滞留人口が増加し近隣に飲食店や商業施設ができ、賑わいが創出されると考えています。金沢では「空き家問題」から毎年100棟の金澤町家が解体されており、昔ながらの景観が失われています。今後も街全体をプロデュースしながら、金沢の景観と歴史的価値の高い金澤町屋を守っていきたいと思います。