濱屋織物 株式会社

呉服中心の衣料卸しから新業態へ進出、スタイリッシュホテルとカジュアルレストランを展開

濱 哲史さん[取締役]


ホテル朝食のもてなしで一日の始まりを応援

創業67年。足袋販売を起点に、呉服、婦人服、寝具等と衣料全般を扱ってきた当社は、3代目である現社長が多角化をスタートさせ、着実に歩みを進めています。まず約20年前の駅前再開発を機に複合ビル・パトリア内に飲食店を開業、さらに第二再開発時に駅前ホテルを始めたのが約8年前です。私はホテル開業後に七尾に戻ってきました。
それまでの前職では、企業の事業戦略策定の専門部署で、あらゆる業種の経営相談に乗っていました。そのため今、衣料、ホテル業、飲食業と、異業種3分野を抱えながらも、自分の中で一切違和感はありません。
七尾に戻ることにした際、改めて各事業の意義を考えました。まずこのビジネスホテルは主に、県外市外から来る方々に向けたサービスであるため、仕事や余暇で七尾を訪れる方たちが良い時間を過ごせる後押しとなることが重要と考えました。実はこの駅前ホテルがオープンして約2年後に他社が進出開業、知名度で劣り客室数でも約半分のこちらは1年間ほど苦戦しました。でも今思えば、競合が来てくれて本当によかったんです。改善改良していく努力姿勢が根付き、結果的に魅力が高まる道筋が付きました。現在も朝食を充実させ、季節の能登の食材なども取り入れながら、一日の元気をご提供しようとメニュー開発にも力を入れています。

店内フロアの笑顔が答え スペシャルな日常空間

飲食店チャオは2年前に全面改装していますが、実は経済合理性で判断すれば投資などできない店でした。正直考えましたが、来店者数ではなくその顔ぶれを見た時、お年寄りや子どもさん連れなど自分で車移動ができない層が多く、さらにその皆さんが少し特別な日常を楽しむ極めて大事な場所として機能していることが分かってきました。引率されてみんなで食事に来る学童保育の子たち、保護者の方と一生懸命フォークナイフの練習をする養護学校生徒さん。バリアフリーの建物が限られる地方都市で、車いすの方の飲食にも貴重な場所でした。
人がうれしい気持ちを味わったり元気になる時間に、地方格差があってはおかしいでしょう。投資回収率には多少目をつぶってでも尊重すべき、大きな事業意義がありました。建築雑誌に載るような設計士さんを訪ねて直接交渉し、皆さんの人生の記憶に残る時間を提供する場所として、空間リニューアルを手伝ってもらうことができました。さらにより多くの方にそのひと時をお楽しみいただけるよう、手頃な価格という価値をもう一つ加えて提供しています。
呉服中心だった濱屋は、今後も時代と共に変化成長を続けます。この能登の七尾でどのサービス領域にフォーカスして事業継続するか、今は業種は定めず、バランスをうまく取りながらお客様にしっかり還元していければと思います。

濱屋織物 株式会社

■ 住所/〒926-0811 石川県七尾市神明町口部19-12
■ TEL/0767-53-2381
■ 代表者/濱 暉元
■ 創業/昭和24(1949)年
■ 業務内容/衣料卸売・ホテル業・飲食店等・多角的事業を展開

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります