大野製炭工場

奥能登で奮闘する唯一の製炭工場
日本の伝統文化の茶道に注目して新商品開発

大野 長一郎さん[代表]


炭やきで育ててもらった命を炭やきで繋げていこうと決心

大野製炭工場は、昭和46年に創業しました。当時は、燃料革命が起きて石油やガスが普及し始めていた頃で、たくさんの炭やきがやめていく中、その普及してきた燃料を使った炭やきを父が始めました。私は昭和51年に生まれ、苦労しながら炭やきをしている両親の姿を見て育ちました。一旦はサラリーマンになりましたが、父の体力の衰えを感じ始め、勤めていた会社を退職し、この仕事に従事することにしました。
しかし、その4年後に父が他界。その時に私は、「炭やきという生業で育ててもらったこの命を、炭やきという手法で繋げていこう」という決意をしました。そのためには、利益を得ることの難しい製炭業を利益の取れる事業に変えなければならなかったことから、新商品の開発に取り組むことにしました。そこで着目したのが、日本の伝統文化である茶道で使われている茶道用木炭(別名「菊炭」)です。価格に大きな変動もなく、高い値段で流通していたことから、ここに商機を見出しました。

「炭やき」という生業の確立と年間生産量10トンの達成を目指して

菊炭を生産するには、6年~10年生の若い「クヌギ」という樹木が適しているので、付近の里山で探してみたのですが、ほとんど生えていませんでした。そこで、平成16年に将来の生産コストの削減も見据え、工場近くで未利用の土地を探し、そこにクヌギの群生地を作るため、植林をすることにしました。
私が目指す持続可能な事業モデルとして、年間生産量10トンを目標とした事業計画を立ててみたところ、8年目を伐期と定めた場合、年間1000本の植林を8年間続けられれば、循環できるクヌギ林が完成することが分かりました。しかし、それは容易なことではありませんでした。1回目の伐採までにかかる初期投資の部分が大きく、1000本当り8年間で150万円も掛かることが分かりました。そこで、平成20年からは、NPOと連携した植林イベントを実施することで、経費を抑えながら、植林地を拡大してきました。
たくさんの方の協力を得ながら何とかこれまで継続することができ、おかげさまで、今年は植林イベント10周年を迎え、目標だった植林本数に到達する予定です。そして、これまでの実績から、2030年には生産目標10トンを達成できる目算となりました。
また、さらなる利益増加を図るため、珪藻土を使った火を愛(め)でるための「hahasoの火鉢」と菊炭の美しさを活かした「アートウォール」という商品の開発を進めており、炭の付加価値向上にも繋げていきたいと考えています。
私の炭やきという生業を通じて、自分の暮らしや文化と「炭」の関わりを知っていただくことや、植林による里山の保全が、生物文化多様性の保全へと繋がり、今の暮らしを見つめ直すきっかけとなってくれればと願っています。

大野製炭工場

■ 住所/〒927-1443 石川県珠洲市東山中町ホ2
■ TEL/0768-86-2010
■ 代表者/大野 長一郎
■ 創業/昭和46(1971)年
■ 業務内容/製炭業

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります