有限会社 松田建具製作所

木製建具全般から創作家具までを手がける
個人向けから文化財の建具まで幅広く対応

八窪 弘貴さん[代表取締役]


建具の奥深さを感じて家業を継ぐ

初代が昭和5年に松田建具店として創業、2代目が昭和55年に法人に改組し、昨年5月より3代目となりました。当初、七尾市の市街地で創業したものの、道路が狭く材木の乾燥置き場も手狭であったことから、数回の移転を繰り返して、平成16年に現在地に落ち着きました。
私は金沢の生まれで12年前に妻と結婚してからこの建具業に従事しました。それまでは内装の仕事に従事しておりましたが、仕事場を見たとき、建具の奥深さを感じ興味が湧いたのと、これまで私の本業であった内装の仕事より技術的に優れている仕事だと思ったからです。
当社では木製建具と創作家具(棚とかテレビの台)をお客様のご要望に応じてオーダーメードで対応しております。当社の強みは、建具と家具の両方を作れる技術が優れているところです。建具に関しては、注文に合わせていろいろなデザインの木製建具を作ることができます。障子、襖戸、ガラス戸、フラッシュ戸、書院、欄間等です。他に、最近では寺の戸や門の戸などの注文も頂くようになり、文化財に指定されているお寺の戸の修復も手がけています。これまでに、兵庫県の念仏宗の総本山、石動山の寺、シンガポールの日本人会館、九州の寺、輪島市の総持寺祖院等の仕事をさせていただきました。

培ってきたブランドを守り建具の技を次代に継承したい

この建具業の楽しいところは、同じものを大量に作るのではなく、一つしかない自分だけのものを作ることができるところだと思います。その都度、職人はどのようにして、どんなものを作ろうかと考えるのが好きで、上手くできたときの喜びは一入(ひとしお)です。
現在は既製品の建具が主流になってきており、本物志向の建具を入れる家が減ってきています。そのため、最近は和室だけに入れる建具の注文が多くなってきていますが、建築様式の変化から、和室にも規格の戸を入れる家が出てきており、全く和室がない家も増えつつあります。昔は50坪の家で100枚くらいの建具が入ったものですが、最近は20枚くらいです。
3代目として対外的には、これまで培ってきた「松田建具ブランド」の信用を保ち続けていきたいと思っています。先代の社長はリーダーシップが強く、ぐいぐいと引っ張っていくタイプですが、私は従業員と一緒にやっていこうというタイプなので、力まず自分なりの個性を出していきたいと思っています。今後、この建具業界の技術を次代に繋げていくことが大切だと思っています。職人が高齢化していく中、若い世代が建具の技を継承していく必要性を痛感しています。このまま技術が廃れていくのは慚愧(ざんき)の念に堪えません。今、具体的な方策は見つけていないですが、とにかく繋いでいく仕組み作りをしなければという使命感を持っています。

有限会社 松田建具製作所

■ 住所/〒929-1817 石川県鹿島郡中能登町徳前ラ5
■ TEL/0767-76-2151
■ 代表者/八窪 弘貴
■ 創業/昭和5(1930)年
■ 業務内容/木製建具業、内装仕上業

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります