春蘭の里実行委員会 春蘭の宿

里山を活かした地域特産物と農家民宿で1億円の産業を興す

多田 喜一郎さん[事務局長]


村おこしは地域特産の春蘭から

この地域に春蘭という植物が自生していることから「春蘭の里」と命名し、地域特産の春蘭と農産物で1億円の産業を興そうと、平成8年に「春蘭の里実行委員会」を結成したのが始まりです。
当初活動を始めたのですが、なかなか売上が伸びませんでした。そこで、平成9年に見直しをかけ、地元にある山菜や野菜を使った食事を出して、お客様に農家体験をしていただこうと発想を転換し、農家民宿を始めることにしたのです。
民宿の第1号は私の家です。だから私の家は「春蘭の宿」なんです。最初は1軒から始め、平成15年に4軒が開業し合計5軒になりました。そこで、次のステップとして団体客の受入れ等のことで観光関連の会社と話をすると、修学旅行などを含めると、200人規模の受け入れ体制がないとなかなか上手くいかないだろうといわれ、それならば200人規模の体制を整えようとなり、まず30軒を目指しました。5軒から平成19年に10軒が開業、平成21年には15軒が開業し合計30軒になりました。ここで200人を受け入れる体制が整い、その後も増え続けて平成25年に47軒になり、現在に至っています。
来ていただいたお客様には四季ごとの体験をしていただいています。春は山菜採り、夏は魚の掴み取りや川遊び、秋はキノコ狩り、冬は雪遊びといった具合です。その中で全体的なレクリエーションとしてキャンプファイヤーとかキリコ祭りの体験とか、箒(ほうき)、草履(ぞうり)や草鞋(わらじ)作り、餅つき等を取り入れています。特に、外国の方に人気のあるのは餅つきです。餅をついてすぐ食べるというところが人気のようです。他に採れたての山菜の天ぷらも人気があります。

昔も今も人と人の心のふれあいが一番

特に、修学旅行の生徒はじいちゃん、ばあちゃんらと触れ合う機会がなかなかないことから、ここに来て、心と心の触れ合いを感じてもらうのが一番いいのかなと私は思っています。もちろん都会では見られない景色や捕れたての川魚を食べたり、おたまじゃくしを見られるということもありますが、やっぱり最後は人と人かなと思います。これは、子供、大人、海外の人全てに共通していると思います。
ここの特徴は、農家がやるというところです。だから農家民宿なんです。私たちは地域再生を目標としています。小さな農家でもここに住んで生活ができるシステムを作り上げなければと思っています。だからそのためには、1ヶ月40万円の収入を農家民宿で稼いで、そして若者が戻ってきて生活ができて、赤ん坊の泣き声が聞こえるような、こんなシステムを元気な高齢者が作ると今、私らが取組んでいます。
春蘭の里の課題は、47軒がレベルアップすることと、さらに広がっていくことです。これまでに、移住してきた方は、台湾から1組、隣の集落に1組といった具合に合計7名の若者が地域に定住されました。この方達を集めて若者のグループをつくり、将来、その方達に頑張ってもらおう、もちろん私たちも頑張ろうと思っています。

春蘭の里実行委員会 春蘭の宿

■ 住所/〒927-0322 石川県鳳珠郡能登町字宮地16-9
■ TEL/0768-76-0021
■ 代表者/中本 安昭
■ 創業/平成8(1996)年
■ 業務内容/農家民宿

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります