株式会社 輪島屋善仁

史上最良のものづくりを常に目指す ギャラリー塗師の家では結集した漆の技を公開

中室 勝郎さん[代表取締役社長]


入魂作業で完成度を高め、絶対的品質へ

文化10年に塗師善仁が自作自売の旅に出たのが当社の始まりです。以来今日に至るまで、製販一元化が当社の根幹です。作り手が自ら販売し、お客様の声をものづくりに直接フィードバックできる体制です。お客様はいつの時代も変わらず、よりよいものをより安くと求めます。もっと心が豊かになるもの、美しい、楽しいものをというお声から、次の文化が生まれるんです。作り手が直接お客様とやりとりすることは、漆文化の理解にもつながります。
当社は社是として、「史上最上のものづくり」を掲げています。生活スタイルが大きく変わったといえども、輪島塗のファンは必ず残ります。残るのは、より質の高い品物を欲しがってくださる方々です。そういう方々に提供できるものを作る必要があります。
つまり、私たちがやるべきことは、日本漆芸史上、最良のものづくりなんです。妥協はできません。作り手は、魂を込めて作業をします。入魂作業したものには愛着が湧き、仕事にやり甲斐、生き甲斐を感じ、完成度が一行程毎に高まります。生産管理と品質管理を重視することで生み出す絶対的品質が当社の基本です。

輪島が誇った文化力 往時の塗師の家を再生

平成23年に公開したギャラリー「塗師の家」は、我々のものづくりのシンボルです。漆文化の発信地は、私どもの長年の悲願でした。顧客創出のスタートは信頼を勝ち得ること。「この会社になら任せてもいいな」という気持ちになっていただけるかどうか。目で見て確信してもらえる形があれば、信頼はより強固になります。そこで、輪島の塗師文化が最も盛んであった江戸後期・明治期の館の復元に挑戦しました。この文化再現を、我々自身の手で行うことが重要でした。社運を賭けてもやり抜かねばならないと決意しました。
大改修のすえ、往時の塗師の家を再現した館は、日本建築学会から日本一美しい町家と認定をいただきました。それだけの文化力が、かつての輪島にはあったわけです。我々はその復元能力を備えた集団です。輪島塗は、木工、漆工、金工等の多様な技術が結集した集約産業で、それが材料、技、意匠の3要素で成り立っています。
材料で最も大事な漆については、現在、岩手県二戸地方の山に国内最大の漆の森を持ち、日本産最良の漆を、純正に油一滴入らないよう採取してもらっています。その採取技術も、いまや無形文化財です。ここにも知恵と信頼が生きています。
当社の品物は百年保証です。普通ならそんなに長い保証は会社に何の得にもなりません。でも我々は、歴史の名品を見、どういう品物が美しく残ったかを知っています。数百年先までを見越し、最良のものをお届けしたいのです。輪島屋善仁のものが、人を幸せにする。そんなものづくりを続けていきます。

株式会社 輪島屋善仁

■ 住所/〒928-0068 石川県輪島市平成町63
■ TEL/0768-22-0521
■ 代表者/中室 勝郎
■ 創業/文化10(1813)年
■ 法人化/昭和47(1972)年
■ 業務内容/輪島塗製造・販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります