松波酒造 株式会社

日本酒で人の縁をつなぐ 誰もが楽しく乾杯できる提案商品も

金七 政彦さん[代表取締役社長] 聖子さん[若女将]


地元の果実と野菜が日本酒と出合い、新感覚の酒が誕生

日本酒原酒を使った果実や野菜のリキュールは、現在5種類になりました。野菜は能登の特徴的な2つの野菜を使ったごぼう酒「沢野ごん坊」と、トマト酒「松波とま登」です。沢野ごぼうは、七尾の中山間地、沢野地区で栽培されるブランド野菜で、将軍家に献上された歴史もある能登伝統野菜です。本当に大きなごぼうで、香り高さも特徴です。この素材の味を引き出すため試作を重ね、衝撃的な香りに皆さんが「わぁ、ごぼう」と笑顔になる素敵な酒になりました。もうひとつは地元JA内浦町の海洋深層水トマトの酒です。従来市場にあったトマトジュース風の酒と異なり、白ワインのようにキリッとしつつ飲みやすい、個性的な酒ができました。
果実の酒は、柿、柚子、梅の3種いずれもすべて自家農園製です。かつて父が植え、毎朝3時から山で畑仕事、それから役場に出勤して町長公務に当たった頃の果樹が、実は近年手入れもできていませんでした。しかし、ほったらかし農園は却って天然無農薬。柚子酒は果汁と皮を分け、フレッシュ感を増した味わいを出しました。柿の酒は完熟柿が溶け込んだような豊潤さを生み、これも期待を超えた美味しさに仕上がりました。
食の好みが多様化する中、デザート感覚のリキュールで間口を広げ、最終的には日本酒に目を向けていただけたらもっと嬉しいですね。海外での日本酒販売も徐々に始めています。

能登杜氏の里で地域に愛される極寒仕込みの酒

能登杜氏発祥の地で、能登杜氏による極寒仕込みの酒造りを行う小さな酒蔵です。創業は明治元年、今もほぼ手作業が多く、薪・石炭時代からの大きな釜で米を蒸し、槽(ふね)と呼ばれる大型の搾り機で搾るなど、昔からの道具を現役で大事に使っています。
通年雇用の社員杜氏と共に、社長の私も作業に当たります。次女も蔵人として酒造り、長女は出張販売などの営業活動から、Webや印刷物で情報発信を行うなど、皆で一緒に酒造り、商品づくりをしています。全員が一人何役も兼ねなくてはいけませんが、小さい蔵だからこそ声が届きやすく、新しいことに取り組みやすいですね。
近くで見てもらえる蔵でありたいと考え、個人から見学ツアーまで蔵見学を受け入れています。寒の時季の朝は、ご近所一帯にまで白い湯気が流れ、蒸し米の香りが立ち込めます。酒造りが見られるのは冬限定ですが、家で飲むときにも現場を見た記憶と共に味わってもらえたらと思います。能登の豊富な海の幸に合う晩酌の酒、旅に来る人、地元に住んでいる人、皆さんがいつも飲めるおいしい酒でありたいですね。季節限定酒や吟醸酒も手掛けています。
皆さんが楽しく乾杯できるように、幅広い酒を造り、届けていきたい。人と人が仲良くなるにはやっぱり乾杯しないとね。日本酒には、ご縁を結ぶツールとしても重要な力があると思っています。

松波酒造 株式会社

■ 住所/〒927-0602 石川県鳳珠郡能登町字松波30-114
■ TEL/0768-72-0005
■ 代表者/金七 政彦
■ 創業/明治元(1868)年
■ 法人化/明治36(1903)年
■ 業務内容/清酒製造販売業・全酒類卸小売業

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります