株式会社 ヤマト

能登で獲れる魚介をおいしく加工 付加価値を高め、目指すは地域活性化

笹野 好伸さん[代表取締役社長]


毎日が商品開発 生活者ニーズに応える手軽さを工夫

数あるおすすめ商品の中で今のイチ推しが、「レンジでお手軽焼きいか」です。温めるだけでなく、レンジ調理で程良く焦げ目付きにできる独自製法が特徴です。ご家庭では難しい焼きいか調理の煩わしさも省きました。「サザエ味噌の壺焼き」は、身をいったん殻から出して刻み、肝味噌と和えて殻に戻しています。磯の香りと肝の風味をレンジアップで手軽に召し上がれます。
当社の工場は、生処理から乾燥、焼き上げまで一連の加工を一貫してできる強みがあり、メーカーさんとの共同開発など、ソフト部分のご依頼もいただくようになっています。もちろん自社商品の開発も含め、毎日が商品開発です。
歴史的にこの能登町は、漁業者が利益を上げて経済が潤い、発展してきた地域です。しかし今や消費者の生活スタイルが変わり、素材のまま売っていては地域が疲弊していくばかり。水揚げさえすれば蔵が建った時代とは違います。漁船が半減する中、ともすれば大量に獲れた魚が安価な肥料やエサになってしまうような事態はあまりに悲しい。漁師は食卓に並ぶ魚を獲りに海へ出ているんです。私は魚を、「食品」として扱いたい。これが加工業に乗り出した理由です。

豊富な食資源を活かしたい 地域の魅力を都市にお届け

魚介の貯蔵は農産物とは違い、作付面積と時期から収穫量を見込んで必要な貯蔵場を計画的に安定確保するようなことが困難です。都市の需要に応えるには魚種や規格サイズも要求されますが、冷蔵施設が不十分なら魚が傷む前にそれこそ安く売らざるを得ません。
これを打破し、地域で獲れた水産資源を有効活用、さらに加工まで地元で行うことで付加価値を高めるのが、6次産業化です。「子ども世代が働く場所がない」という声が聞かれますが、ないなら作るべきなんです。八戸や函館といった他県の漁港地には加工業者が多くあり、原料としての魚の買い手もいます。能登の漁業所得を増やし、地域を盛り上げていきたい。人がいないと、ものも作れません。若者世代が住めるまちづくりは地域の責務です。
世界農業遺産にも認定された能登。水産加工は強みを生かして興せる産業です。実際にせっかくお声がけいただいても、当社だけではご要望の量の加工に応えられなかったり、地域における原料の貯蔵能力不足でお断りする商談があるんです。ブランド産地形成は、地域全体で組織的に取り組んで実現すべき大きなテーマでしょう。
北陸新幹線が開業したら「ぜひとも能登に行きたい」と思っていただくには、やっぱり食の魅力を伝えること。「おいしい」と喜ばれる産品をお届けし、能登の美しい海の風景を心に思い描いてもらいたい。魚介だけでなく農産物とも組み合わせた商品研究開発や、能登特有の発酵食文化を生かしたものづくりも行っています。食で能登のファンを育てたいと思います。

株式会社 ヤマト

■ 住所/〒927-0301 石川県鳳珠郡能登町字七見76
■ TEL/0768-67-1722
■ 代表者/笹野 好伸
■ 創業/昭和62(1987)年
■ 法人化/平成6(1994)年
■ 業務内容/乾燥珍味食品製造・魚介類加工・鮮魚卸売・インターネット販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります