株式会社 和平商店

小木イカと加工の技は地域の誇り この美味しさを都市の方にもお裾分け

浅井 園子さん[和平商店/のと百楽荘・女将]


新鮮な透き通るイカをお家で手軽に

最初は生イカの刺身でした。小木はイカの日本三大漁港。旅館百楽荘の女将として、クリスタルのように透き通る小木の自慢の獲れたてイカ刺身を食べていただきたいと、祖父母の時代からの思いを受け継ぎ、ご宿泊客にお出ししてきました。しかし、漁船が戻る時間は日々違い、季節によっても一定せず、旅館の調理場で不規則な作業は難しい。
そこで、限りなく獲れたてに近くお出しできる方法を求め、自ら加工に乗り出しました。イカの身は獲れたては半透明、30分で茶色くなり、夕方には白くなりますが、うちのイカは半透明の間に皮をむいて切り、パック冷凍しますので、解凍すると半透明に戻っていきます。お客様は解凍してお皿に乗せるだけ。獲れたての生イカに限りなく近い状態で食べられます。なれた状態を冷凍しても、半透明には戻りません。「自分で釣ったイカよりも美味しかった」と言っていただけます。
加工場の裏が港なので、船を横づけにしてもらい、すぐに運び入れます。地元のおばちゃんたちに電話を入れますと5~10分で集まってくれ、即座に捌いて真空パックにします。この臨機応変な対応が可能なのはまさしく地元の強みです。材料仕入れの心配も全くなく、品質のとても良いものが手に入ります。
夏のスルメイカをはじめ、アカイカ、アオリイカ、ヤリイカと、季節のイカの刺身が楽しめます。スルメイカは催事で、「イカってこんなに甘いんですね」と言われます。

イカ漁港の女性たちの隠れた技の活用がポイント

一方、船凍イカを使った商品は、「いかの鉄砲焼」、「いかの一夜干し」、「いかの麹漬け」など通年提供できます。「鉄砲焼き」はこの辺りで昔から好んで食べた味噌詰めです。三越百貨店さん向けなど東京では小さいサイズが好まれ、阪急百貨店さんなど関西ではボリュームがあるほうが好まれますね。「一夜干し」は、地元の魚醤いしるをタレの隠し味にした人気商品です。都市から求められる味を、この土地の文化も大事にしつつ開発していきたいと考えています。
たくさんイカを使えば地元も潤います。雇用の場を作り、若い人に帰って来てほしいという思いもあって出発した加工事業です。この地域は船頭さんの奥さんが多く、皆さんイカを扱う技術を持っていて、しかもものすごく手早いです。イカは日本全国で獲れますが、鮮度を落とさず、きれいに作る加工技術が小木は高い。せっかくある地域資源を、女性たちの技術力も活かして美味しく提供していけば、地域に誇りを持つと思います。地元の人が誇りを持って選び、自信を持って贈れる商品になりたいという思いでやっています。
大都市の人にも、私たちには普段から当たり前の新鮮で美味しいものを、ぜひ召し上がっていただきたいんです。イカは高額な高級食材でもなく、年中いただけるものです。スタートして4年目、小木のイカの本当の美味しさをもっと知ってもらわなくちゃと、ますます力が入っています。

株式会社 和平商店

■ 住所/〒927-0553 石川県鳳珠郡能登町字小木18字55
■ TEL/0768-74-0055
■ 代表者/浅井 和平
■ 創業/平成21(2009)年
■ 業務内容/小木産イカ加工品製造・販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります