二子山牧場 有限会社

牧場がつくる、自信のアイスクリーム。能登の素材も活用し、正直な製品づくり

橋本 正次さん[代表取締役]


土壌改良から取り組み 肥沃な牧草地へ

うちのアイスクリームは本当においしいですよ。どんな国にも負けません。まず原料になる牛乳が違います。そして牛に飲ませている水がまた違います。深さ100mの井戸から汲み上げるアルカリ性の天然ミネラル水を与えています。
アイスの加工製造は6年目、ソフトクリームも同時期からです。最初、遊び心で作ったら、東京の友達が「こんなにおいしいものはぜひ商品にすべき」と盛んに背中を押してくれ、加工を始めるきっかけになりました。これも、草地の土壌改良に有効な「鶏糞」を見つけたお陰です。
私が大学を卒業して酪農の道に進んだ頃、国営パイロット事業に選ばれたこの二子山地区は、耕すのも難しい痩せた土地でした。4〜5年かけて化学肥料を大量にまきましたがうまくいかず、入植した農家も大勢やめました。
そんな時、近くの養鶏場に思い至り、その鶏糞を調べると、肥料分が非常に高かったのです。ダンプカー1台分の鶏糞の成分を、農協から買う肥料に換算すると莫大な金額です。「うわーっ、これだ」と驚き、人から見たら臭い汚い鶏糞が、私にはピカピカと光る「金の延べ棒」に見えました。毎日出る約20トンの処分に困っていた養鶏会社から、鶏糞を3〜4年間毎日畑に入れ、雑草が伸びると鋤き返しをします。土が変わってきたのがわかりました。その後も鶏糞を入れ続け、肥料の購入経費をかけずに肥沃な牧草地が生まれ、また大型トラクターで効率よく作業ができるようになりました。

本当の味を伝えたい 牛乳からこだわりのアイスへ

牛はとにかくたくさん草を食べます。その牧草が良質でないと、よい牛乳はできません。たんぱく質の多い豆科の草も、うちの肥沃な土地だからこそ育ちます。良質な草が収穫できれば、飼料価値を上げつつコストは下がります。効率面で優秀な牧草生産です。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、スイス、イタリアの牧場も見てきましたが、日本は雨も気温もあり、恵まれています。
鶏糞堆肥が草に変わり、牛乳に変わり、アイスに変わります。価値を秘めた物の力をうまく見つけ価値の循環でおいしい物に仕上げていきたいと思います。最近は、堆肥を色々な農家に無償提供しています。この堆肥を使うとおいしい野菜ができますとの声もいただいています。
牛乳の直販はしておらず、他の牛乳と混ぜ合わされて流通しています。独自ブランドの引き合いは多いものの、今のところ保存や発送も対応しやすいアイスで行こうと考えています。アイスは現在10種類。苺アイスは、うちの堆肥で栽培した苺を使用しています。
正直な製品づくりが信条です。利益より、本当の味をわかってもらうことが一番大事。もし質が下がるようなことがあれば、その時は売らないという気持ちです。振り返って思うのは、何でも探し、活かすことに必死でした。何が大事かを見抜いて活かすことが、これからも大切だと肝に銘じています。

二子山牧場 有限会社

■ 住所/〒927-0305 石川県鳳珠郡能登町字武連
■ TEL/0768-67-2648
■ 代表者/橋本 正次
■ 創業/昭和43(1968)年
■ 業務内容/ジャージー牛の牛乳販売、ソフトクリーム・アイスクリームの販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります